パンドラの箱、ギリシャ神話に登場する、最初に人類に災いがもたらされた原因として知られています。
浦島太郎の玉手箱やドラクエの宝箱など、たとえ「開けてはいけない」ものやミミックが入っていたとしても、開けて見たくなるのも人間の悪しき心(?)。
開けて見なければ物語は進まない、なら、パンドラの箱が開かれたことも人間にとっては与えられるべくして与えられた試練なのかもしれません。
そんなパンドラと、箱の中身とは
パンドラ、神々に作られた「人類の災い」
パンドラとは神々によって作られた人類の災い、「パン」(Παν)は「全て」、「ドーラー」(δώρα)は「贈り物」(δῶρον)「地上に送り込まれた全ての贈り物」を意味します。
パンドラの記述については、紀元前700年頃に実在したと推定される古代ギリシャの抒情詩人ヘーシオドスの『仕事と日』に記されています。
パンドラが生まれたきっかけはプロメテウスがゼウスの意に背いて人間に火を与えたことへの罰。ぜウスが人類に災いをもたらすために「女性」というものを作るように炎と鍛治の神ヘーパイストスに命令。
へーパイストスは泥からこの世で最も美しく、最初の女性となるパンドラを造りました。そして、神々はパンドラに様々な贈り物をします。
知恵の女神アテナからは知恵と能力を、美の女神アプロディーテからは溢れる魅力を、芸術の神アポロンからは癒しの力を、そして主神ゼウスからは好奇心を与えられます。
神々は最後に彼女に「決して開けてはいけない」と告げ、ピトス(甕・カメ)を与えます。
ピトスの中には「病」「犯罪」「嫉妬」「憎悪」「疑心」「邪心」「悲嘆」など人間にとってのあらゆる悪が封じ込めてあったのです。
そして神はパンドラをプロメテウスの弟であるエピメテウスの元へ送ります。
美しいパンドラを見たエピメテウスは、プロメテウスの「ゼウスからの贈り物は受け取るな」という命令を受けながらも、彼女と結婚。
そしてある日、パンドラは好奇心に負けてピトスを開けてしまいます。
その瞬間、ピトスに封じ込められていた「悪」は解放され、世に放たれてしまいます。
けれど最後に、「ἐλπίς」エルピス(希望)だけは放たれず残ります。
ピトス(甕・カメ)が箱になった経緯については、パンドラが記された最古の書物ヘーシオドスの『仕事と日』が、ルネッサンス期に入って、ピトスの訳語としてラテン語:のpyxis(ピュクシス)が用いられたことによるものであるとされています。
ちなみに、パンドラとエピメテウスは娘ピュラーをもうけます。ピュラーとその夫、プロメテウスの息子デウカリオンは、その後に起こる大洪水の際、ノアの箱船に乗船、ギリシャ人の祖ヘレンをもうけます。
最後に「希望」が残されたことの解釈は
最後に「希望」だけが放たれずに残ったことの解釈については、いろいろな説があります。
否定的な意見としては
“「希望」も災いの一種であり、これが残ったことで、全てを諦めて受け入れることができず、人間は常に希望によってあがき、苦しむことになる”というもの。
けれど、一般的な解釈としては
“様々な災いが世に放たれた中で、「希望」だけが人間の手中に残った”
「災いは人間の意志ではどうにもならないけれど、希望を持つことができることで災いを乗り越えられる」というものです。
やはり、「人間にとっての最大で最後の力となるのが「希望」である」という結論になるのでしょうか。
原始の惑星にもなる パンドラ
映画「アバター」の舞台となったのは原始の惑星パンドラ。アバターは2009年に公開されたジェームス・キャメロン監督作品。
北欧神話の世界樹ユグドラシルを思わせる、神であるエイワの意思の宿る魂の木と、先住民ナヴィの住まう惑星「パンドラ」。文明を排除する原始のままの姿が描かれ、まさに、人間の原点を連想させるよう意図していると思えます。
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GOWゴッド・オブ・ウォーⅠとⅢでは重要なキーアイテムとして登場します。
Ⅲでは、クレイトスに邪神アレスの討伐を命じたオリュンポスの神々は、パンドラの箱に封じ込めた力でアレスを滅ぼそうと目論み、クレイトスにパンドラの箱を手に入れさせます。
クレイトスは箱を開き、「希望の力」を身に宿すことで、軍神アレスや最終決戦においてのゼウスとの戦いにも勝利することができるのです。
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パンドラ まとめ
神はなかなか簡単には人間に幸福を与えれてはくださらないように思います。
パンドラに世に悪を解放させ、カインにアベルを殺させて、人間をその末裔にしてみたり、アブラハムに約束の地を与えると公言しておきながら、現在もなおその紛争は続いている?
まあ、政治的な難しい問題も、宗教的な詳しい解釈もわかりませんが、神は決っして人間に優しい存在でないよう。
神に傅く愚かな子羊は、成長してもオオカミにはなれない・・・・