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アズラエル(アズラーイール)、イスラム教の死の天使。魂を導く慈愛の天使

投稿日:

ジャン・デルヴィル 作

アズラエル(アズラーイール) はイスラム教の死の天使。 

同じく死の天使としてサリエルやサマエルが伝えられていますが、アズラエル(アズラーイール) は死者の魂を導く慈悲深い天使様。 

一般的に死神は怖い存在ですが、イスラエルでは死は救いなのかなってイメージします。 

そこでそのアズラエル(アズラーイール)に注目です。 

サリエルやサマエルとの違いは? 

イスラムの死は万人にとっての救い? 


 

アズラエル(アズラーイール) 、人間を造る土を採取した大天使 

作者不明

アズラエル(アズラーイール)とは 

アズラエル(アズラーイール  Azrael)は、イスラエル正典で語られる死の天使。 

クルアーン(コーラン)に記されるマラク・アル・マウト「死の天使」の別称とされます。 

ヘブライ語のその名は直訳すれば「神は助けてくださった」、「神の天使」または「神の救い」を意味します。 

 

アズラエルは人間を造る土を持ち帰ったことで神に認められ、神の命を受けた死の天使。 

慈悲深い役割を担う、魂の導き手です。 

すべての生命の死を司る存在であることを象徴する「四面の顔」を持つ異形の天使。 

人間の「生死の監視者」、誕生時と死時には携帯する名簿にその名前を添削します。 

 

** 「死の天使」になったきっかけ **

アズラエルはイスラム教のアダム創造の際に活躍。 

四大天使の中で唯一アダムの素材となった土を持ち帰り、人類誕生に貢献した天使です。 

 

アッラーはアダムを創造する際、材料となる土を地上から集めてくるよう天使たちに命じます。 

ジブリール(ガブリエル)、ミカール(ミカエル)、イスラーフィールが順に地上へ降り立ちます。 

けれど大地は「新しく創られる人間は神に反抗し、この地に災いをもたらすだろう」と涙ながらに抗議(諫言)。 

三天使はその言葉に同情して土を取らずに天へと戻ってしまいます。 

最後に遣わされたアズラエルだけは「私は大地の言葉よりも、神の命令に忠実である」と任務を遂行、土を持ち帰りました。 

 

「死の天使」の誕生 

この重要な任務を果たしたことで、アズラエルは神への忠誠を認められ、アラーから「死の天使」を拝命。 

大地の懇願にさえ動じなかったアズラエルであれば、情に流されることなく全うできると判断されたところによるものです。 

 

アズラエルは人間の死を司り、魂を肉体から引き離すという非情で困難な任務を担います。 

伝承によっては彼が最初から「肉体と魂を分割する術」を心得ていたため、土を持ち帰ることができたとも語られています。 

アズラエルは「生死の監視者」として、最後の審判に至るまでのすべての人間の魂を見守り、時として罪人の魂を裁定する役割をも担っています。 

 

** 階級 ** 

アズラエルはイスラム教やユダヤ教で伝えられる天国の区分である第三天の住人とされます。 

クルアーン(コーラン)にアズラエルの名は記されていませんが、クルアーン(コーラン)に記されるマラク・アル・マウト「死の天使」と同一視、あるいは、マラク・アル・マウト「死の天使」はアズラエルの役職名であると解釈されます。 

四大天使の一角。 

  • ジブリール(旧約聖書のガブリエルと同一視) アッラー(神)の言葉を預言者たちに伝える
  • ミーカーイール(旧約聖書のミカエルと同一視)人々に食べ物や恵みをもたらす自然界の管理者
  • イスラーフィール 最後の審判の日、角笛を吹き、世界の終焉を告げる 

に並びます。 

 

** アズラエルの特徴、サリエルやサマエルとの違い ** 

ユダヤ教、キリスト教文化圏において、アズラエルはサリエルやサマエルなど、聖書に現れる「死の天使」と同一視されます。 

その違いは 

⚫︎サリエル (Sariel)は、古代ユダヤ教『エノク書』に記される死の天使。  

邪眼を持つ、月の運行の守護、霊魂の監視などの役割を持つ堕天使 

⚫︎サマエル (Samael)は、ユダヤ教「タルムード(口伝律法(解説・議論集))」に記される死の天使。

死神、あるいはサタンとも同一視されます。 

 

これに対し 

⚫︎アズラエルは、イスラム教の正典に記された、神の忠実な使徒。 

魂の導き手である純粋な「死の天使」です。 

 

外見・姿

イーヴリン・ド・モーガン作

アズラエルは神によって光から作られた高位の天使(四大天使の一人)、他の大天使らと同様、大きな体と天使の持つ本来の神々しさも兼ね備えています。 

 

けれど、その外見は恐ろしい異形の天使。 

4つの顔を持ち、全身は無数の目と口と舌で構成されており、その数は地球に住む生者の数と同数。 

その目と口と舌で全ての人のそれぞれの罪を見つめ、語り、裁くとされ、アズラエルの目がまばたく度に地球のどこかで命が失われているとされます。 

 

4枚2対の翼を持ち、100万枚のヴェールで全身を覆い、片手には地上に生きるすべての人間の名を記録した名簿を持ち、人が死ぬとそのノートからその死者の名前が消えるとされます。 

他方の手には肉体と魂を分ける鎌を携えます。 

 

他説 

⚫︎(12世紀のイスラム教の博学者)アル=クルトゥビーは、アズラエルは青い羊のような形をしている 

⚫︎(6〜7世紀の初期イスラームの著名な法学者・ハディース伝承者)イクリマ・マウラー・イブン・アッバースは 

  • アズラエルの大きさは「地球を肩に乗せると、開けた野原の豆のようになる」
  • アズラエルには4,000枚の翼があり、それは恩寵の翼と罰の翼の2種類に分かれ、罰の翼は鉄の棒、鉤、はさみでできている。 

⚫︎(8世紀、初期イスラーム期の学者・擬人主義神学者)ムカティル・イブン・スレイマンは、天使は7万本の足を持っている。 

⚫︎(7〜8世紀、第8代カリフ(イスラム教の指導者))ウマル・イブン・アブド・アル=アジーズは、死の天使は燃える鞭で武装している 

と伝えています。 


 

アズラエルの役割

イスラム教の民間伝承や一部の古い解説書(説教集など)では、 

人は死が訪れる40日前に、アッラーは天の玉座(アルシュ)の下にある木から葉を落とし、アズラエルはその葉に書かれた人の名前を読むと伝えています。 

 アズラエルは人に死期が訪れると、神からの命を受け、死者の元を訪れ魂を体から連れ去ります。 

 

死はあらゆるものに例外無く訪れます。 

死の天使の主な役割は、それらが死を迎える際に魂をつかむことであるとされます。 

イスラムの伝えでは、人が死ぬ際には体から抜けようとする魂は喉元のところまで出てきており、それを死の天使が回収するのだとされます。 

 

その際、善行を積んだイスラムの信仰者は扱いも丁重に天国に迎え入れられます。 

聖人や預言者は大天使自身に迎えられ、一般の人々も下級の死の天使によって迎えられます。 

モーセやムハンマドのような偉大な預言者は自身も美しい姿に戻って、聖人としてアズラエルに出迎えられるとされます。 

  

** アズラエルと死の関係 **

イーヴリン・ド・モーガン作

(8 世紀のコーラン学者)ムカティル・イブン・スレイマンなど、イスラム教の一部の学者はアズラエルと死は同一の存在としています。 

アズラエルは体内に生物の数と同じ数の顔を持ち、それらはそれぞれ生者の魂と生命に繋がっており、アズラエルの体内の顔が消えると、それと繋がっていた魂は死を迎えるとしています。 

 

死と死の天使アズラエルの起源 

イスラムの伝承に死と死の天使アズラエルの起源に関する有名なエピソードがあります。 

 

アッラーが死を創造したとき、神は天使たちにそれを見るように命じます。 

けれど、死が放つあまりの恐ろしさと威圧感に天使たちは千年の間気を失ってしまいます。 

意識を取り戻した天使たちは、この恐るべき「死」を管理し、人間の魂を宿命に従って回収する役割が誰にできるのかと畏怖。 

アズラエルが自らその大役を担うと名乗り出、アッラーはアズラエルに「死」を支配する力を与えました。 

これにより、本来は全存在を震撼させるほど強力だった「死」は、アズラエルの命令に完全に服従することとなりました。 

 

信仰者と不信仰者の死の様子については預言者言行録(ハディース)で詳しく伝えられています。 

** 信仰者の死 **

イスラーム歴史上最大級『ムスナド・アフマド(Musnad Ahmad)』に収録されている、有名なハディース(「墓の審問」や「死後の魂の旅路」に関する伝承)で伝えるところでは 

 

信仰者の元へは、まず、天国から舞い降りた白く輝く美しい天使たちが、経帷子(きょうかたびら 死装束)や遺体に用いる香を携え、死を迎える者に訪れます。 

 そして「死の天使」の訪れ。 

死者に「善き魂よ、アッラーのお赦しと御満悦を受けるべく外に出てくるのだ。」と語りかけます。

その呼びかけに応じ、死者の体から魂が出てきます。 

その魂を死の天使が捉え、香をかけ、経帷子に入れ、天へと向かいます。 

麝香(ムスク)のような芳しい香りが漂いう善き魂は天へと昇ってゆきます。 

 

天では天使らの歓迎を受け、最上階層である第七天「イッリーユーン」へと到達します。 

アッラーは善人を記録する書へその名を書き入れるよう命じ、二人の天使ムンカルとナキールが死者に問いかけます。 

アッラーを信仰していること、クルアーンの教えに従う者であったことなどが問われ、死者がそれに答えます。 

天から「彼は真実を述べた」との声が聞こえると、死者はゆったりとした墓での安楽を約束され、復活の日そして最後の審判の時を待つとされます。 

 

** 不信仰者の死 **

◾️不信仰者の死については、クルアーン第8章『戦利品(アル=アンファール)』第50節には、 

「天使たちは彼らが前に向かう時にはその顔を打ち、後ろへ逃げる時にはその背中を鞭で打つのである。そして彼らにこう言うのだ。「焼き焦がす炎の懲罰を味わえ」と。」

とあります。 

 ◾️『ムスナド・アフマド(Musnad Ahmad)』、あるいは『スナン・アブー・ダーウード』に記録されている、預言者ムハンマドの門弟子(サハーバ)バラー・イブン・アーシブ(Bara' ibn 'Azib)が伝えたハディース(伝承)では 

 

不信仰者の死には、粗布を携えた黒い顔をした厳しい天使たちが死者を訪れます。 

そして訪れた死の天使が「悪しき魂よ。アッラーの怒りを受けるべく外に出てくるのだ。」と命じます。 

けれど、悪しき魂は体の中に止まろうとし、天使たちは強引に魂を引きずり出し、粗布の中に押し込めます。 

悪臭が漂う魂は、最下層の天の門すら開かれず、天界には迎え入れられません。 

魂は地の最下層・地獄「スィッジーン」に放り投げられ、アッラーは不信仰者・悪人記録書へ書き入れるよう命じます。 

そしてムンカルとナキールの二人の天使が尋問。 

死者は答えることができず、天は「その者は嘘を述べた」と判断。 

体が押しつぶされるほどに狭い墓穴の中に入れられ、火獄から送られる熱風に苦しむという罰を受けながら、最後の審判の時を待つとされます。 


 

アズラエル(アズラーイール)、現代でもなかなかの活躍 

映画 ドラマ 

『アズラエル』2024年公開のサイレント・ホラー/アクション。日本では邦題『ヴィレッジ 声帯切村(コエキリムラ)』として配信されています。 

声を奪われた人々が暮らす世界を舞台に、主人公のアズラエルがカルト教団や荒野の脅威から逃れ、生き残りをかけて戦うストーリーです 

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人気ドラマ『LUCIFER/ルシファー』のアズラエルも「死の天使」。主人公ルシファーやアメナディエルの妹です。 

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ドラマ『GOTHAM/ゴッサム』に登場するアズラエルは、シーズン2後半に現れる復讐の戦士です 

 

アニメ・ゲーム 

『機動戦士ガンダムSEED』のムルタ・アズラエルは地球の人類を守る組織「ブルーコスモス」の盟主。

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『グランブルーファンタジー』のアズラエルは世界管理システムである「天司」と呼ばれる原初の星晶獣の1体 

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『Fate/Grand Order』のアズライール/ハサン・サッバーハ)」は、2026年8月(FGO11周年)に実装された、「グランドアサシン」の星5サーヴァントです。 

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アズラエル(アズラーイール) まとめ 

ミハイル・アレクサンドロヴィチ・ヴルーベリ作「六翼のセラフィム(アズラエル)」1904年

イスラエルの信者と異教徒との死後の扱いの格差にオドロキです。 

罪人の扱いだけなら納得しますが、異教の神を信仰するだけで罪人扱いされるのはやり過ぎだと思うのですが。。。 

 宗教が原因で戦争が起こり、異教徒は敵である教区に暮らす者の気持ちを理解していないのかもしれませんが。。。。

 

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