出典:deviantart
アニメ「七つの大罪」や「家庭教師ヒットマン」のベルフェゴールはイケメン、巨乳キュートな美少女をイメージしますが、グリモワール七つの大罪のベルフェゴールは便器に座った醜悪なオヤジ。
けれど、妖艶な美女でもあるとも伝えられています。
なので、美女かオヤジか、そこのところハッキリしたいと思います。
「怠惰」「色欲」を司るベルフェゴールとは何者?
目次
ベルフェゴール、便器に座る悪魔
ベルフェゴール(Belphegor) ベールフェゴル (Beel phegor)は、中世の魔術書グリモアールに記された
「七つの大罪」のうちの「怠惰」を司る悪魔。「色欲」「排泄物」を司る悪魔でもあります。
その名は古代アッシリアのモアブ人の神バアル・ペオル(Baal Peor)のギリシャ語またはラテン語読み。
外見的な特徴としては、頭部に二本の大きな角、牛の尻尾を有します。
19世紀のフランスの文筆家コラン・ド・プランシーの描いた便所に座った悪魔のイメージが定着していますが、これは、ベルフェゴールは、「排出物」を司る悪魔でもあるため。
一方でベルフェゴールは「色欲」を司る、男を惑わす妖艶な女悪魔であるとも伝えられています。
地獄ではルシフアーの副官として悪魔軍団の武器開発を担当。
地上に結婚の幸福があるかを見極めるため地獄から送られ、結婚で幸福を得られるなんてあり得ないと結論付けています。
ベルフェゴール、色欲の悪魔の前身バアル・ペオル
ベルフェゴールは、古代モアブの豊穣神バアル・ペオル(Baal peor בַעַל-פְּעוֹר)を前身とします。
古代オリエント最高位の神格バアル神のひとりであり、その名はヨルダンの「ペオル山の主神」を意味します。
「ペオル」とは裂け目のこと。この神の捧げ物は山の岩の裂け目に投げ入れていたと伝えられています。
旧約聖書『民数記』第25章には「ペオルの事件」として記されています。
また、4世紀の神学者ヒエロニムスは「列王記」に登場する「モアブの神である憎むべき者」ケモシュ神はバアル・ペオルであると述べています。
旧約聖書『民数記』の中で、モーゼに率いられたイスラエルの民がモアブの地を訪れた際、民はモアブの儀式に招かれます。
モアブの娘たちは民を歓迎し、バアル・ペオルを始めとする自分たちの神々に礼拝させます。
イスラエルの神ヤハウェはこれに激怒、参加した者たちを死刑に処すようモーセに命じます。そして、疫病をもたらし、24000もの人々の命を奪います。これが「ペオルの事件」。
バアル・ペオルの信仰には生贄を捧げたり、性的な儀式も含まれ、モアブの娘達がイスラエルの民を誘惑したことにヤハウェが激怒したのだと意味付けられています。
ベルフェゴールが色欲を司る魅惑的な肉体を持つ妖艶な女悪魔とする説は、この伝説から生まれたと解釈されます。
ちなみに、この事件については異教徒を弾圧するものと思われ、「申命記」「ヨシュア記」などの記述で、異教神を崇拝した者の末路としてたびたび言及されています。
ベルフェゴール、色欲を司る
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ベルフェゴールの名は前身の「バアル・ペオル(ペオル山の王、裂け目の王)」に由来します。
悪魔では数少ない女性とも伝えられ、人間に変化する時には若い妖艶な女性の姿に変わるといいます。
ベルフェゴールも他の多くの神々と同様に、その儀式の中でしばしば生け贄を求めたことから、ユダヤ系のラビ(宗教的な指導者)によって悪魔として貶められます。
ギリシアの古神プリアポス(生殖の神)と同一視され、大きな生殖器を持つ男性神、排泄物を司るクレピュリス(屁の神)とも称されます。
けれど、排泄物は本来の意味以外に、悪口や財産という意味を表す言葉でもあります。
こうしたイメージが影響しているのか、中世のベルフェゴールは移動式便所に座る醜悪な悪魔として描かれるようになります。
便器が描かれた理由はユダヤ教のラビが汚らしい排泄物こそがベルフェゴールにふさわしい奉献物だと説いたからだといわれます。
怠惰を司る悪魔
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ベルフェゴールは地獄の大悪魔、ルシファーの副官のひとりです。
もともとは権天使で、堕天後、ルシファーに能力を評価され、地獄の実務を取り仕切る大悪魔に至りました。
中世のグリモワールでは発明を手助けする堕天使、便利な発明品を人間に与えることで堕落させるという意味において「怠惰」の悪魔と称されます。
つまり、発明と創意工夫を得意とし、悪魔たちの使う武器の開発に努める悪魔。
同じく知性派の悪魔アスモデウスとの相違点は、理論だけでなく行動力にも優れているというところ。
ルシファーが天界に背いたとき、ベルフェゴールは参謀として作戦の一切を取り仕切りました。
人間嫌いの悪魔
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ベルフェゴールはひどい人間嫌いとして有名です。その原因はとある論争によるものだといわれます。
天界から地獄へ堕ちてしばらく経ったころ、魔界で「幸福な結婚というものは存在するのか?」という議論が起こります。
実際にそれを確かめるためにベルフェゴールは人間界に来ます。彼は人間の結婚生活を観察し、その結果幸福な結婚など無いと言う結論に至ります。
その結果、ベルフェゴールは女性に対して非常な不信感を持ち、そのためか、女性に不道徳な心を芽生えさせる力を持つ悪魔とされるようになります。
ちなみに、中世の古い諺で「ベルフェゴールの探求」というものがあります。その意味は「有り得ない事」「不可能な企て」を表します。
作品の中のベルフェゴール
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15世紀、ルネサンス期の政治思想家ニッコロ・マキャヴェッリは散文小説『大悪魔ベルファゴール』を出版。
内容は、結婚の実態を調べるために人間界に派遣されたベルファゴールは、ロデリーゴという人間の男とってオネスタという絶世の美女と結婚。妻を深く愛しますが、オネスタはサタンに勝るほどの奢りでロデリーゴを苦しめます。結果、ベルファゴールは結婚に失望し、地獄に戻るというもの。
その他にも、マキャヴェリの「ベルフェゴール」、「ベルフェゴール、あるいはデヴィルの結婚」などの作品も出版されています。
ちなみに、フランスでは、「ルーブル美術館を夜中に歩き回る怪物」という都市伝説にもなっているのだとか。。。
ベルフェゴール、本気を出せばスゴっい! 悪魔?
「七つの大罪」のベルフェゴールはゲームやアニメが好きな巨乳、キュートな美女。ネットを通じて全世界に信者がいる「本気を出せば魔王の中で最もすごい」らしい悪魔
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出典:game8
女神転生シリーズのベルフェゴール、「女神転生2」では倒すとヴァジュラという剣を譲ってくれる、魔界の怒りの塔で挑戦者を待ち受けている邪神。「真・女神転生2」ではファクトリーエリアの監視塔の番人。
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「家庭教師ヒットマン」のベルフェゴールは特殊暗殺部隊ヴァリアーの幹部。通称「ベル」。ワイヤー付きのナイフを武器とし、無邪気で残酷。通り名は「プリンス・ザ・リッパー(切り裂き王子)」。
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ベルフェゴール まとめ
出典:deviantart
ベルフェールもベルセブブと同様に、異教の神であるために貶められ、成り下がった悪魔なようです。
(良いか悪いかは別として)
生贄はギリシャ神話でも北欧神話でも、かつては多くの神に捧げられていました。
また、他民族と交わる歓迎も、かつては新たな血を迎い入れる地母神信仰にも繋がっていたようです。
人は信じるもののために死ねる。 宗教を語るのは難しいです。
ただ、悪魔に成り果てたベルセブブもベルフェールも決して辱めをうける神ではなかった、ですよね。
便器に座らせる醜悪オヤジはあんまりだ!、と思いました。