アスモデウスは旧約聖書外典『トビト記』にも登場する悪魔。
七つの大罪では色欲を司る、元は智天使であった堕天使。
ソロモンの七十二の悪魔のなかでは唯一ソロモンに抗えた悪魔であったとされます。
女性に取り憑いたり、博学であったり、魔法学園では優等生にもなるアモデウスに注目です!
上手に召喚できれば、いろんな恩恵に預かれる!? 悪魔アスモデウスとは
目次
悪魔アスモデウス
アスモデウス(Asmodeus)は旧約聖書外典『トビト記』等に登場する悪魔。
アスモデウスはラテン語、ギリシア語形アスモダイオス、ヘブライ語形アスモダイ、中世の悪魔書「グリモワール」ではフランス語形アスモデとも表記されています。
語源はゾロアスター教の悪魔アエーシュマ(Aēšma)に由来するとされます。
アスモデウスはキリスト教「七つの大罪」のうち「色欲」を司る悪魔。
人間の情欲や嫉妬を操り、不貞を働くようにしむけ、夫婦や恋人の仲を疎遠になるよう働きます。また、破壊と復讐を司る悪魔であるともいわれます。
堕天使であり、もとは「智天使(ケルビム)」。
17世紀のフランスの宗教家セバスチャン・ミカエリウスの記した「悪魔の階級」では「熾天使(セラフィム)(最高位)」とされており、洗礼者ヨハネに対抗するとされる、ユダヤ教の伝承では「悪魔の王」。
アスモデウスは旧約聖書『トビト記』では、サラという娘に取り憑いた悪魔として登場しています。
中世の魔術書グリモワール『ゴエティア』では、ソロモンの七十二の悪魔の一人アスモダイ。東方の悪魔の首座であり、72の軍団を率いる序列32番の大いなる王。唯一ソロモン王に抗えた悪魔です。
起源
アスモデウスはゾロアスター教の悪神アーリマンの手下であるアエーシャマ・デーヴァが起源であるとされます。
アエシュマ・デーヴァAeshma Deva、「激怒」「情欲」を司る、ペルシアで3千年以上前から伝承される世界でも最古参の悪魔。
血塗られた武器を持った毛むくじゃらの悪魔。聖戦士たる神スラオシャやミスラ、救世主サオシュヤントの敵対者。最終戦争でサオシュヤントによって倒されます。
ゾロアスター教の創世神話によれば、アカ・マナフ(魔、悪しき心)を持った神はダエーワ(悪神)となってアエーシュマに従い、人間の敵となったといわれます。
ユダヤ人はこの悪神を悪魔の長「アスモダイ」と呼び、アダムとイブに「知恵の実」を与えた悪魔と言い伝えられています。
その出自については様々な説が伝えられています。
- カインの子孫トバルカインとその妹ナアマの近親相姦によって生まれた
- グリゴリ(旧約聖書偽典『エノク書』に記された「人間に禁じられた知識を与えた」堕天使の一団)と人間の間に生まれた残忍な性格の巨人
- もとは智天使(ケルビム)の長で、ルシファーに従い追放され地獄に堕ちた
- アダムとリリスの子供
など。
容姿
アスモデウスの容姿についてはコランド・プランシーが描いたグリモワールのアスモデがまずイメージされます。
召喚されると「牡牛」「人間」「牡羊」の3つの頭、毒蛇の尻尾、ガチョウの足を持つ、口から火を噴く2足歩行の悪魔。頭には王冠を被り、手に槍と旗を持ち、地獄の竜に乗って現れます。
けれど、旧約聖書『トビト記』に描かれたアスモデウスは人間というより、悪霊。竜のような爬虫類のように描かれています。
中世の小説『跛の悪魔』の中のアスモデは悪戯心と風刺の天才、山羊の脚を持つ醜い姿を持つ悪魔として描かれています。
聖書の中のアスモデウス
旧約聖書続編「トビト記」に記されるアスモデウスはサラと云う娘に取り憑く悪魔(悪霊)。
新婚初夜に彼女自身の手で七人の夫を絞め殺させ、天使ラファエルに捕らわれています。
ソロモンとアスモデウス
19世紀の魔術書グリモワール『ゴエティア』によると、アスモデウスはソロモン72柱の1柱、四方を司る四大悪魔の1柱、アマイモン配下の東方の悪魔の首座、序列32番の大いなる魔王。
アスモデウスは唯一ソロモン王に抗えた悪魔です。
ソロモン王は72柱の創設者です。けれどそれは神から授かった指輪の力によるものでした。
アスモデウスは言葉巧みにソロモンを騙し、指輪を奪います。
鎖を解いてもらうとソロモンを玉座から引きずり下ろし、はるか遠くに投げ飛ばしてしまいます。
アスモデウスは奪った指輪を海に投げ捨て、しばしソロモン王になりすまし、700人のソロモンの妻と床を共にしたとされます。
その後、ソロモンは偶然にも釣り上げた魚の腸から指輪を見つけ、アスモデウスを倒し、玉座へ復帰。
ちなみにアスモデウスが魚の内臓を嫌うのは、このためであるといわれます。
アスモデウスは逃げ出しますが、ガブリエルはこの悪魔を追いかけ回し、エジプトのタアタという街の洞窟に閉じこめます。
そして、ソロモンの前に連行し強制労働を命令します。
アスモデウスは素直にこの刑に服し、エルサレムのさまざまな建物を建てたとされます。
伝説の鉱石、シャミール(シャミル)
一説では、ソロモン王が建てたとされるイスラエル神殿を築く際に用いた、全ての石を切る伝説の「シャミール」はアスモデウスからその所在を聞いたとされます。
このシャミールはどのような硬い石でも思いのままの大きさと形に切り出すことが出来る巨大な虫で、操ることができたのはアスモデウスだけだと伝えられています
アスモデウスの召還
アスモデウスはあらゆる知識に精通し、それを人間に伝授してくれるといいます。
幾何学、算術、天文学、工芸、力学、悪魔学(デモノロジー)や不可視の術(人を透明にする)を教授し、強力な護符である、美徳を司る「星まわりの指輪」を与えてくれます。その他にも財宝の所在や、守護もしてもらえるといいます。
ただし、この「恩恵」を受けるには、正式な手順を踏まねばならず、約束を違えた場合には最も残酷な復讐者になるとの事。
アスモデウス、混沌からイケメン優等生にまでなる悪魔
「魔入りました!人間くん」のアスモデウス・アリスは入試首席の優等生悪魔。人間くんに忠誠を誓う、イケメンのオトモダチ。
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「女神転生」シリーズでは「デジタル・デビル・ストーリー女神転生Ⅱ」で魔王アスモダイとして初登場。「真・女神転生Ⅳ」では新宿御苑の池泉庭園にある封霊塔カゴメのボス、好色な真っ赤な悪魔。
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ソーシャルゲーム『メギド72』のアスモデウスはもっとも古くに追放されたメギドの一人。元々はメギドラルの支配集団「大罪同盟」の1人。「不死者」とも呼ばれ、ヴァイガルドでは伝説的存在。無数の触手を生やした肉塊のような混沌を象徴する姿で登場です。
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アスモデウス まとめ
もし、ソロモンの指輪があったら、まずこの悪魔を呼び出したいと思えるようなアスモデウス。
いろんな恩恵に預かれて、「いたずらと風刺の天才」なら遠くから見ている分にも面白そう。
なんて、悪魔を軽々しく判断すべきではではないですね