秋分(しゅうぶん)の頃ともなれば紅葉の便りも聞こえてきます。
秋のお彼岸、国民の休日でもある秋分の日には、やはり自然の鑑賞も兼ねたお墓参りで、季節の移り変わりを満喫したいところです。
吹く風やお寺の鐘の音も心なしか清しく響くと思えるのは、空気が澄んだ秋の気候も影響しているのだとか。
しばし都会の喧騒を忘れます。
目次
「秋分」
秋分(しゅうぶん)は二十四節気の16番目。
現在の定気法では太陽黄経が180度のとき。2024年の秋分は、9月22日(日)、および寒露(10月8日の前日)までの期間をいいます
『暦便覧』でも「陰陽の中分となれば也」、秋分は春の春分と同じく太陽が真東から昇り真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ同じになります。
春分の日・秋分の日にそれぞれ前後3日間を含んだ7日間が「春の彼岸」「秋の彼岸」。
「暑さ寒さも彼岸まで」と言われ、秋の彼岸のこの日を境に、夏の暑さから冬の寒さへ気候が変わってゆきます。
秋分の日
秋分の日とは、秋分点と呼ばれる位置を太陽が通過する日。
一年には春分点と秋分点の二度、赤道と黄道が交わる部分があり、この日昼と夜の長さがほぼ等しくなります。
秋分の日の「秋分」とは、秋分点と呼ばれる位置を太陽が通過する日、秋分点とは赤道と黄道が交わる部分をいいます。
秋分の日は「彼岸の中日」でもあります。
秋分の日は、国が定めた国民の祝日。「祖先をうやまい、亡くなった人々を偲ぶ」日として制定されています。
ちなみに「秋分の日」は年毎に違い、国立天文台の算出する定気法による秋分日を基に、前年の2月第1平日付の官報によって公告されます。
季節、満ち欠けでも変わる月の呼び名
出典:allabout
秋には観月も似合います。季節や移り変わりや月の満ち欠けによって様々に表情を変える月は、呼び名もその時々によって変わります。
気候を表現する呼び名
- 朧月(おぼろずき): 霞のかかった月
- 薄月(うすづき):薄く雲がかかった月
- 無月(むげつ):十五夜に雲がかかり、見えない月
- 雨月(うげつ):雨の日の月(雨で月が燃えない時)
- 寒月(かんげつ):寒さでしばれるように見える月
ひと月の満ち欠けによって変わる呼び名
- 1日目:新月(しんげつ)
- 2日目:二日月(ふつかづき)
- 3日目:三日月(みかづき)
- 7日目:上弦の月(じょうげんのつき)
- 13日目:十三夜(じゅうさんや)
- 14日目:小望月(こもちづき)
- 15日目:十五夜(じゅうごや)
- 16日目:十六夜(いざよい)
- 17日目:立待月(たちまちづき)
- 18日目:居待月(いまちづき)
- 19日目:寝待月(ねまちづき)・臥待月(ふしまちづき)
- 20日目:更待月(ふけまちづき)
- 23日目:下弦の月(かげんのつき)・二十三夜(にじゅうさんや)
- 26日目:有明の月(ゆうめいのつき)
- 30日目:三十日月(みそかづき)
「秋分」の頃の七十二候
「秋分」の頃、七十二候においては下記のように表現されます。
初候(9月23日頃〜9月27日頃) 雷乃収声(かみなり すなわち こえを おさむ):雷が鳴り響かなくなる
夏に頻繁に鳴り響いた雷も治る頃。いよいよ残暑もおさまり、秋の気候に変わってゆきます。
次候(9月28日頃〜10月2日頃) 蟄虫坏戸(むしかくれて とをふさぐ):虫が土中に掘った穴をふさぐ
虫たちが冬ごもりの支度を始める頃。これより半年の間地中で暮らし、啓蟄の頃に再び地上に現れます。
末候(10月3日頃〜10月7日頃) 水始涸(みず はじめて かる):田畑の水を干し始める
農家では田の水を落とし、稲の刈り入れが始まります。
「二十四節気」とは
二十四節気は、一年を春・夏・秋・冬の季節に分け、それぞれをさらに6分割した24の期間に名前をつけたものです。現在でも季節の節目を示す言葉として使われています。
二十四節気の名称は、中国で考案された当時のものがほぼそのまま使われています。考案当時の文明の中心であった黄河の中・下流域の気候を反映しており、日本よりも寒冷で大陸的な気候のため、日本の気候とは多少ずれがあります。
太陽黄経が30の倍数であるもの(春分・穀雨など)を中(中気)、そうでないもの(清明・立夏など)を節(正節、節気)と言い、節気から次の節気の前日までの間を一ヶ月とする月の区切り方を節切り、その月を節月と言います。季語の分類も主として節切りで行われています。
夏至・冬至の二至、春分・秋分の二分を併せて二至二分といい、立春・立夏・立秋・立冬を四立、二至二分と四立を併せて八節と言います。二十四節気をさらに約5日づつの3つに分けた、七十二候という分類もあります。
秋分の頃の行事
彼岸花
秋分の頃に見頃な花といえばやはり彼岸花。
日本には各地に彼岸花の咲き誇る名所が点在しています。
彼岸花の名は秋の彼岸頃、突然に鮮やかな紅色の花が咲くことに由来しています。
彼岸花は多年草。葉が茂る前に開花し、開花が終わった後に葉を出し、春が過ぎたころに葉を落とします。
彼岸花の別名は曼珠沙華(マンジュシャゲ)、その他各地で様々な名で呼ばれています
学名はリコリス( Lycoris)。この名はギリシャ神話の海の精であるネーレーイスの一人リコリスに由来しています。
日本には中国から渡来したものと考えられ、現在では各地で野生化し様々な名で呼ばれています
彼岸花は球根に強い毒性がある有毒植物。
墓地や畔などに多くみられますが、これは彼岸花に含まれる毒性によってモグラやネズミなどの害獣から作物や土葬された遺体を守るためであると言われています。
彼岸花の名所
埼玉県日高市 巾着田
日高市巾着田 は、高麗川沿いの河川敷に500万本の曼珠沙華が咲き誇る日本一の名所として有名です。
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愛知県半田市 矢勝川
出典;kurashi-no
開花の頃、半田市矢勝川の堤には約300万本の彼岸花が咲き、川沿いの田畑が鮮やかな朱色に彩られます
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滋賀県高島市 桂浜園地
滋賀県高島市「桂浜園地」は多くの彼岸花が琵琶湖畔を彩る名所。観光名所、フォトスポットとしてもおすすめです
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京都府 大原の里
ほのぼのとした田園風景が広がる京都の名所の一つ「大原の里」。彼岸花の名所としても有名です。
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奈良県宇陀市 仏隆寺
門前の樹齢900年の山桜も有名な古刹仏隆寺は彼岸花の名所でもあります。古式豊かな原風景を堪能です。
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福岡県八女市 ヨシビ棚田
彼岸花の咲くこの頃、福岡県八女市の「ヨシビ棚田」は、山間の黄金色に色付く棚田とその畔に咲く彼岸花のコントラストが見事。眼下に壮大なメルヘンのような田園風景が広がります
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長崎県大村市 鉢巻山展望台
眼下に雲仙や西海橋、大村湾が広がる「鉢巻山展望所」。100万本の彼岸花が咲き誇る、夕日や朝日を鑑賞するにもベストスポット
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秋分 まとめ
個人的には秋の風情でまずイメージするのが、風になびく黄金色に実った稲穂。街中では歩道に舞い落ちるイチョウの葉と熟した銀杏の香り。
仲秋の頃には、月だけでなく、暮れかかる夕日も似合います。