近頃、円がどんどん安くなり、どんどん贅沢が遠退いてゆくと感じます。
まるで日本国中が貧乏神に憑かれたように思うのは私だけではないはず。
そこで、その、こわーーい貧乏神に注目です。
と、思いきや、意外な貧乏神の正体にオドロキです。
取り憑いて欲しくない?、意外な貧乏神の正体とは
目次
貧乏神、実はおろそかにはできない神?!
貧乏神とは
貧乏神(びんぼうがみ)は、人に取り憑いてその人や家族を貧乏にする神。
とり憑かれると金銭に貪欲になり、財産を食い潰し、金運そのものも失ってしまうといいます。
食物がなくなったり、思いもよらぬ厄災を招いたりもします。
日本各地の昔話、随筆、落語などで語られる神。
古い文献には、骨もしゃぶりつくす悪魔のような存在とされたり、作品によっては妖怪扱いされる事も。
けれど、毛嫌いせず快くおもてなしすれば幸運を運んでくれる神ともされています。
風体
貧乏神は人間の姿で巷を彷徨います。
風体は老いさらばえて、痩せこけた身体。顔色は青ざめ、薄汚れた単衣(ひとえ)を羽織り、破れた渋団扇(しぶうちわ)を持って、悲しそうな表情で現われるといいます。
窪んだ目、とがった顎、白い菅笠(すげがさ)をかぶり,首から頭陀袋をつりさげた姿が典型的な出立ち。
習性
貧乏神は「怠け者」を好みます。
汚い家が大好きで、散らかった不潔なところに引き寄せられます。
家では押入れを好んで住み着くといいます。
昔は囲炉裏の火種を絶やしたり、炉の灰を深く掘りかえすと出てくる。また、焼味噌の匂いを好み、その香りに釣られてやってくるともいわれました。
貧乏神は味噌には目がありません。団扇を手にしているのはこの焼味噌の香りを楽しむためとされています。
貧乏神、憑かれた時の対処法
貧乏神の対処法についてはいくつかの方法が伝えられています。
🔸ひとつには、貧乏神を一旦家に招きいれ、快くおもてなしをし、満願の21日目に祀って送り出すと縁が切れるといわれています。
🔸江戸時代には「貧乏神送り」と称して、焼き味噌を川に流す習俗もあったようです。
大阪・船場の商人の家では、明治の頃まで「貧乏神送り」行事が行われていました。
毎月末の日、家人は焼いた味噌を持って家中を回ります。
香ばしい匂いが家中に満ちる頃、その焼き味噌を二つに折り、味噌の匂いに誘われた貧乏神を味噌の中に閉じ込め、川へ流します。
🔸新潟では、大晦日の夜に囲炉裏で火を焚くと貧乏神が熱がって逃げて行き、暖かさに惹かれて福の神がやって来るとされました。
中国にもかつては「送窮」や「送窮鬼」という行事が行われていたとされます。
大晦日や正月晦日に家の中の貧乏神を送り出し,福禄の神を迎えて一年の幸福と安寧を祈ります。
貧乏神の起源、性別は?
貧乏神は近世以後の文献や小咄・落語などで語られるようになりますが、古くは室町時代の記録に登場しています。
応仁の乱の際、京では「堺の福神の女房達が入洛し、京都の貧乏神の男達が堺へ下った」という記録が残されています。
この記録からは貧乏神が男神として認識されていたことが窺えます。
これに対し、仏典『涅槃教』の中では、吉祥天(ヒンドゥー教ではラクシュミー)には黒闇天(ヒンドゥー教ではアラクシュミー)という妹がいたとされます。
福を招く吉祥天に対して、黒闇天は不吉と災いをもたらします。
そして、一説にはこの黒闇天が貧乏神であるとされます。
黒闇天
黒闇天(こくあんてん)は仏教では天部の女神。密教においては閻魔王の三后の一柱。
吉祥天の妹。
醜悪な容姿、人の功徳をなくし、災いをもたらす神とされます。
『涅槃経』には「姉を功徳天と云い人に福を授け、妹を黒闇女と云い人に禍を授く。此二人、常に同行して離れず」と記されています。
貧乏神、実は福を招く神?
不幸を招く厄介者として嫌われがちな貧乏神。
けれど、疫病神と恐れられる一方で、福を招く神として語られる物語も残されています。
🔸 江戸時代、小石川に住む貧乏な旗本の夢に、自分は貧乏神だという老婆が現れます。
そして「居心地が良く、長くお世話になってしまったので、お礼に福を授けよう」といいます。
貧乏神は旗本に自分の祀りかたを指南し、旗本がそのようにしたところ本当に福が訪れたとのこと。
🔸 江戸時代の奇談集『兎園小説』には「窮鬼(きゅうき)」という貧乏神が登場します。
江戸に年中災い続きの家があり、ある時、その武家に仕える男がひとりの僧と出会います。
僧は「私は貧乏神で今まであなたの仕えていた屋敷にいた。あの家に続出した病人はすべて私の仕業だ。あの家はもう困り果てた状態なのでほかの家へ行く。今後、あなたの主人の運は上を向く」そう言って僧は姿を消し、その後男の仕える家は次第に運が向いてきたそうです。
🔸井原西鶴の浮世草子『日本永代蔵』では貧しい主人からもてなされた貧乏神のお話が語られています。
小さな染物屋の主人があまりの貧しさゆえ、やけで正月に貧乏神を祀ったところ、正月明けの七草の夜貧乏神が夢に現れて不思議な口上を述べます。
そうして貧乏神はもてなしのお礼に店を繁盛させてやるといい、主人は夢から覚め、いつしか店は繁盛しています。
結論、貧乏神とは
貧乏神はその存在は「災厄をもたらす性格が鎮められれば、福神を招く神」と考えられます。
そして、日本各地には「貧乏神神社」という貧乏神を祭神とする社が点在します。
また、一説には貧乏神は福の神よりも数倍強いパワーを持っているとさえいわれる神。
上手におもてなしすれば「災い転じて福と成す」神、なようです。
かわいいから、居着いても許しちゃう? 近頃の貧乏神
人気アニメ『おじゃる丸』の貧ちゃんは丸く可愛い貧乏神。おじゃる丸以外には見えない、人や動物から「やる気」を吸い取ってしまう神。
ーーーーーーーーーーー
『妖怪ウォッチ』のびんボーイは貧乏神の子供妖怪。けど、レベル28でお金ナイダー(金欠のヒーロー)に進化します。貧乏神としての力は弱いものの、少しずつお金を奪われていくので油断できません。
ーーーーーーーーーーー
『桃太郎シリーズ』のボンビーは『SUPER桃太郎電鉄』で初登場。目的地から一番遠かったプレイヤーに取り憑く、余計なおせっかい(という名の悪行)でプレイヤーを困らせる、こわーーーい存在。
ーーーーーーーーーーー
人気アニメ『ノラガミ』の可愛い少女小福。実は貧乏神で、厄災を引き寄せるおバカな夜トの彼女。
ーーーーーーーーーーー
貧乏神 まとめ
貧乏神様(←表現が変わってる)は、実は福の神に転じるありがたい神様。
そう思えばビンボーも気分的に楽しめる気がします(気分だけ💦)
というか、貧乏もそれを楽しむのが極意と見たナリ。。。。