ネメシス、コワ〜イ追跡者は神罰を与える義憤の女神

ネメシス、個人的にはバイオハザードの敵キャラをイメージします。

確かにギリシャ神話のおごった人間に神罰を与える怖い存在。

美しい女神様ではあるけれど、現れて欲しく無い神様です。

さて、そんな神話の中のネメシスとは

ネメシス、復讐では無い、天罰の神

アルフレート・レーテル作

ネメシス 、「義憤」の女神

ネメシス（Nemesis）の名は配分者の意。

復讐の女神をイメージさせますが、正しくは人間のヒュブリス（人間が神に働く無礼）に対する神の憤りと罰が擬人化された存在。人間の分をわきまえぬ思い上がった言動に対する「義憤」（ぎふん　道理に外れたことへの怒り）の女神様です。

正義の名の下に悪事に懲罰を加え、公正な審判を行う神。

過分な幸運を得ておごった者に身の程を知らしめる役割を果たします。

ローマ時代の詩人オウィディウスはネメシスを「自慢話をひどく嫌った女神」と表現しています。

それは王や英雄が傲慢になるとネメシスによって破滅させられたため。

ギリシア悲劇の中でも神罰の執行者としてしばしば登場しています。

エーゲ海の都市スミュルナで崇拝されたネメシスは、敵対者の復讐をなだめるという恩恵をほどこす側面と、悪き者に看過のない復讐者の二つの姿をもつ神。

シンボルは天秤、剣、ガチョウ、鞭、ダガー、定規。

りんごの木でできた有為転変を表す車をもち、おごり高ぶる者を懲らしめる鞭を腰の帯びにつけています。

兄弟にはニュクスの子供達、

• 運命を司る神モロス、
• 死の神タナトス、
• 眠りを司る神ヒュプノス、
• 夢の神オネイロス、
• 苦悩の神オイジュス、
• 運命の女神モイラ、
• 老年の神ゲーラス、
• 不和と争いの神エリス

主神ゼウスとの間にトロイア戦争の原因となったヘレネーをもうけます。

古代ギリシアの叙事詩人ヘシオドスは『神統記』の中で、ネメシスは夜の神ニュクスの娘で翼のある女神。『仕事と日々』の中で、神々の時代から英雄の時代を経た、歴史時代である「鉄の時代」（凡人の時代？）に羞恥の女神アイドスとともに人間界を見捨ててしまったとしています。

メネシス信仰

信仰の対象としてのネメシスは紀元前５〜6世紀、アッティカ地方のラムヌス神殿に神像が奉置されています。

この神像は、ラムヌースの女神とも呼ばれた、古代ギリシアの彫刻家ペイディアースの作品。

「鹿と勝利の女神ニケのついた冠をいただき、左手にはリンゴの枝、右手にはエチオピア人の姿を刻んだ杯を持っていた」と古代の地理学者パウサニアスが「ギリシア案内記」に記しています。

かつて、古代都市アテナイではネメシスの祭、ネメセイアが行われていました。

これは祭祀を受けなかった死者の恨みがネメシスとなって、生者に向かわぬようにする、鎮魂のためのもの。

神話の中のネメシス

神話の中でのネメシスのエピソードは少ないです。

ゼウスとの交わり

ある時、主神ゼウスはネメシスとの交わりを望んで追いかけます。

ネメシスはさまざまに姿を変えて逃れようとします。そして、ガチョウ（鵞鳥）になったところで、神はハクチョウとなって彼女と交わり、女神は卵を生みます。

これを羊飼が見つけてスパルタの王妃レーダーに与え、この卵からトロイア戦争の原因となったへレネーと双子座になった双子の兄弟、英雄カストールとポリュデウケースのディオスクーロイが生れたと伝えられています。

ナルキッソスに罰を与える

ニュンペーのエーコーを冷たく拒んだナルキッソス（ナルシス）に、自らに恋をするという罰を与えたのはネメシスであると伝えられています。

ネメシス 、現代では堂々のイカツイ悪役？

「バイオハザード3」のネメシスは追跡者。どこまでもプレイヤー側を追いかけてくる怖〜い敵キャラ

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出典：tf.takaratomy

『トランスフォーマー』シリーズのネメシスプライムはオプティマスプライムに敵対する悪役。

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「キン肉マン」のネメシス は「完肉」の異名を持つ完璧超人。キン肉スグルに酷似したタラコ唇とブタ鼻が特徴的なマスクを着用する、額の「完」の字がトレードマークの謎多き超人。

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「ペルソナ シリーズ」「ペルソナ2」のネメシスはエリーニュスと同一視さるアルカナ『女帝』のペルソナとして登場。「ペルソナ3」のネメシスは、アルカナ『正義』、交通事故で母を亡くした小学生天田乾のペルソナとして登場しています。

ネメシス  まとめ

ギュスターヴ・モロー作

子供の頃には「悪いことをすればバチが当たる」「今に天罰が下る」と諭されました。

その天罰を与える怖い神様がネメシス様。

復讐の女神様も怖いけど、天罰の女神も充分に怖いです。

けど、「鉄の時代」（凡人の時代）に羞恥の神と天罰の神が人間を見捨ててる、なんか納得してしまうこと自体が残念です。