ロビン・フッドと聞くと、「イギリスの森に隠れ住む、弓の名手で緑衣のシーフ」というイメージがあります。
様々なメディアで子供の頃から慣れ親しんだ義賊。
けれど、その物語や詳細については日本人の我々にはイマイチよくわからない、なんて方もいらっしゃるのでは。
なので今回はロビン・フッドの伝承やその起源にも注目です。
ロビン・フッドは実在した人物?
目次
ロビン・フッドとは
ロビン・フッドは、中世のバラッドで唄われることで民衆の間に広まった伝説上の人物です。
バラッドとは吟遊詩人などが広める「物語唄」。
その題材となったロビン・フッドは幾人もの人物の伝承をまとめて作られた存在。
そのため、時代によって、ロビン・フッドの敵や設定が変化していたり、仲間ができていたりと変化してゆきます。
** 物語の変遷 **
ロビン・フッドは、12~13世紀に伝承として生まれ、14世紀にウィリアム・ラングランドの寓意詩「農夫ピアズの夢」という長編詩にひとつの物語として編集されます。
最初の伝承では、イングランドという国が誕生するきっかけになったノルマン・コンクエスト(イングランドの戦い)後、ノルマン人に抵抗する現地の農民として登場。
その後、ノルマン人に所領を奪われた貴族の娘・マリアンとの恋愛が追加されます。
16世紀には十字軍で遠征に行ってしまったリチャード1世に代わり、政治を取り仕切った弟・ジョン王の悪政に反対した人物として描かれています。
19世紀以降、「弓の名手」「緑衣」「シャーウッドの森に住む」などの設定が追加され、現在に至る〈ロビン・フッド〉ができあがります。
** ロビンフッドの起源 **
ロビン・フッド伝説の起源としては、イングランド伝承に登場するいたずら好きの森の妖精ロビン・グッドフェローや、チュートン神話の妖精フードキン、アーサー王伝説の影響もみられます。
ロビン・フッドのモデルとしてとなった人物として何人かの名が上がっていますがその中で最も有名なのが、ヘリワード・ザ・ウェイク。
ヘリワード・ザ・ウェイクは、ノルマン・コンクエスト後、ノルマン人に抵抗した伝説的な人物。
ロビン・フッドの初期像である、「ノルマン人に抵抗する」や「森に隠れる」といった要素は、彼から誕生したのかもしれません。
ロビンフッド あらすじ
12世紀のイングランド、王リチャード1世は「獅子王」の異名を持つほどに優れた王様。
けれどある日遠征の最中敵に捕まってしまいます。
すると、留守を守る弟のジョンは、民に重税を課し、私利私欲に走る勝手な振る舞いを始めます。
悪政に苦しめられた民は追い詰められ、貧困に喘いでいました。
そんな中、人々を守るために立ち上がったのが元は領主であったロビン・フッド。
彼は緑の衣を纏った弓の名手。
仲間たちとシャーウッドの森に隠れ住み、悪政の限りを尽くすジョン王に立ち向かいます。
1人じゃない? はたまた、キツネなロビン・フッド
「Fate/EXTRA」では主人公の敵側のサーヴァントとして登場。Fateシリーズのロビン・フッドは、1人の人物ではなく、それぞれの時代の名もなき小さな英雄が〈ロビン・フッド〉という名前を使って活躍していたものの集合体。
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1973年に公開されたディズニーのアニメ映画「ロビン・フッド」では、暴政を敷くライオンの王に抵抗し、仲間と共に戦うキツネ
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ロビン・フッドはこれまで多くの名優によって映画化されています。
- 1938年「ロビン・フッドの冒険」エロール・フリン主演。
- 1978年「ロビンとマリアン」ション・コネリー、オードリヘップバーン主演。
- 1991年「ロビン・フッド」ケビン・コスナー主演。
- 2010年「ロビン・フッド」リドリー・スコット監督、ラッセル・クロウ主演、など。
作品の変遷を辿るのも興味深いです。
ロビン・フッド まとめ
時代にあわせて変化し続けたロビン・フッド。
彼は、ノルマン・コンクエストやジョン王の暴政など、辛い世情に対抗して、人々の「こんな英雄がいてほしい」という願いのもと、生まれたヒーロー。
勧善懲悪、「弱気を助け、強気を挫く」、ロビン・フッドもアベンジャーズも、時代や国が変わっても、ヒーロー像は不変、ですね。