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アトゥム、原始の神。原子「atom」の語源になった天地創造の神

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出典:deviantart

アトゥム、個人的には手塚治虫の名作、『鉄腕アトム』をイメージしますが、元ネタはエジプト神話の創造神。 

イシスやオシリスの祖となる偉大なる神です。 

その性格から原子「atom」語源ともなった存在。 

 

けれど、正直、エジプト神としてのアトゥムって、あまり聞き覚えがありません。 

そこで、改めてアトゥム神に注目です。 

 

世界を構成する根源となるアトゥム(原子)神とは。 


 

アトゥム、世界の創造神

アトゥムとは 

アトゥム( Atum )はエジプト神話において万物の起源となる原初の神 

原初の水ヌンから生まれ、ヘリオポリス9柱の中心となる、天地創造の神です。 

アテム(Atem)、トゥム(Tum)、テム(Temu)とも称され、”完全なもの”を意味します。 

雄牛、ライオン、猫、蛇がシンボル。 

神々の祖先となる、大気の神・シューと湿気の神・テフヌトを生みます 

 

ヘリオポリス9柱 
  • アトゥム(Atum創造神 シューとテフヌトの父 
  • シュー(Shu)アトゥム自慰によって誕生したとされる大気の神 
  • テフヌト(Tefnut水分、湿った空気の神 
  • ゲブ(Geb)―大地の神 
  • ヌト(Nuit)―天空の女神 
  • オシリス(Osiris)―生産の神であり冥界の王 
  • イシス(Isis)―豊穣の女神 
  • セト(Set)―保護と恵み、破壊の神 
  • ネフティス(Nephthys)―葬祭を司る女神 

 

容姿 

ハリス・パピルス(第20王朝、紀元前1184年~1153年頃)

アトゥム神は様々に姿を変えるエジプト神の中で、基本的には人間の姿の神 

王権とのつながり強調するプスケント」という二重王冠上下エジプトの二重の白と赤の冠)を被り、エジプト十字のアンクと杖を手にした姿で描かれることが多いようです。 

 

その他、エジプト神話の中で死と再生を象徴する神聖な存在である蛇や、マングース、ライオン、雄牛、トカゲ、『死者の書』では老いた夕日としての役割を象徴し、杖に寄りかかった老人として描かれています。 

 

アトゥムの誕生 

古代エジプトの創世神話では、世界には最初に原初の水「ヌン」があったとされます。 

そしてヌンの中に蓮(ロータス)が生え、花を咲かせます。 

創造神アトゥムはその花から生まれます。

その時アトゥム神は古代エジプト人たちが最も原初に近い生物とした「蛇」の姿をして誕生したと伝えられています。 

 

蛇は脱皮によって死と再生を繰り返す、生命を象徴する存在 

アトゥムは、世界が破滅を迎える時「原初の水ヌンの中に帰り、再び「蛇」の姿にもどる、この時、知恵を司るトート神によって目覚めさせられる」と伝えられています。 

 

ヘリオポリスの伝承では、アトゥムは原始の水の中にとして存在し、原始の洪水で生まれた、あるいは自らを創造し、塚ベンベンに座って(あるいは塚そのもの)として原始の水ヌー)から現れ、その後に創造されたすべてのものの源となったとされます。 

 

アトゥムによる天地創造 

エジプト第19王朝

創造神アトゥムは自慰によって、あるいは口から吐き出して、大気の神シュウ(男神)と湿気の神テヌフト(女神)を生みます 

シュウとテヌフトは、大地の神ゲブ(男神)と天空の神ヌト(女神)を生みます 

ゲブ(大地)とヌト(天空)も夫婦となります。 

けれど2神はあまりに仲が良すぎて、身を寄せ合っていたため、大地と天空の間に隙間がなく、世界が創造される余地がありません。 

そこで、シュウ(大気)とテヌフト(湿気)が大地と天空の間に空間をつくります 

その後、ゲブとヌトの間にオシリス(冥界)、イシス(豊穣)、セト(戦い)、ネフティス(葬祭)の神々が生まれます 

 

後年、アトゥムに妻「イウサーアス」もしくは「ヘテベト」が現れます。 

けれどアトゥムの妻はアトゥムの女性的な部分に神格を与えた存在であるとも認識されます。 

 

また、アトゥムは独力で他の神々を生み出したため、両性具有男性と女性の両方の特徴を併せ持つ存在の神とみなされます 

 

神格、役割 

エジプト第22王朝

終わりにして始まりなるもの 

アトゥムはすべての神々の祖、空気、大地、天空を生んだ万物の創造者です。 

アトゥムはギリシア語の名称で、エジプト語名では「テム」となります。

テムは「それ自身で完成に至るもの」「始まりにして終わりなるもの」を意味します。 

「すべての始まり」としてのアトゥムは世界そのものであり、宇宙神であるという概念につながります 

同時に終わりでもあるため、ヘリオポリス神話においてのアトゥムの死は世界の終焉を意味すると捉えられます。 

 

原子「atom」の語源となった神

アトゥムは、原初の混沌から最初に現れた「全宇宙の根源」 

物質の最小単位である「原子(Atom)」という名は、この神が万物の起源であるという概念に由来しています。 

 

冥界を旅する魂を守る神 

古王国時代には、アトゥムは王が亡くなるとその魂をピラミッドから星空へと昇らせる神、ファラオの魂が神になるのを助ける神として信仰されていました。 

アトゥムはまた、原初神であるところからラーと結びついた太陽神、特に夕方の太陽と結びついており、地底世界や冥界とのつながりが語られています。 

 

太陽神ラーと習合されるアトゥム神 

アトゥムは、原初の水ヌンから最初に現れた存在であることから、太陽神としての属性を持ちます 

そのため同じ太陽神であるラーと同一、あるいは習合された存在となってゆきます。 

 

一説にはヘリオポリスの祖神は太陽神ラー、後に現れたアトゥムはラーと同一化し「アトゥム・ラー」となったとされます。 

他説、エジプト神話での太陽は、朝、昼、夜の姿に変わると考えられます。

朝が「ケプリ」、昼が「ラー」、夕方が「アトゥム」、老いたる太陽 

 

ただし、エジプト中王国時代紀元前2040年頃〜紀元前1800年にはアトゥムは一日を照らす太陽。

そのため、後に太陽神ラーと習合して「ラー ・アトゥム」となったとも伝えられています。 

 

そして、ラーやケプリ (Khepri)などの他の太陽神に変化しながら、昼と夜を旅し、同じくヌンから生まれた冥界の悪の化身、アポピスという大蛇と戦うとされています。 


 

アトゥム、原初の神、今ではテクノロジーが生んだ原子の子

鉄腕アトム」は手塚治虫を代表する作品のひとつ。漫画として1952年(昭和27年)連載、1963年(昭和38年)にはアニメシリーズとして登場。今でも全世界で親しまれる日本を代表するSF作品。原子力(後に核融合)をエネルギー源とするロボット、アトムの活躍が描かれています。

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ジョジョの奇妙な冒険」のアトゥム神はダニエル・J・ダービーの弟テレンス・T・ダービーのスタンドとして登場しています。「賭け」に負けた相手の魂に干渉する能力の持ち主。

 

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オンラインゲーム「神姫プロジェクト」のアトゥムは翠蛇の弓導者、人気NO1の褐色肌のギャル。自在に矢を放つ怪力の持ち主です。

 

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アトゥム まとめ

オシリスとアトゥム エジプト第19王朝

神々を生み、世界を創造したアトゥム神が、万物を構成する原子の語源となって、原子の子「アトム」になった。

マクロ・アトゥムがミクロ・アトムになった、なるほど手塚治の世界なのだなっと納得します。

 


 

 

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