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多数派に少数派が取り込まれるという現象は、歴史を振り返ってみると、さまざまなところで見かけますよね。宗教も例外ではなく、土着の神が外来の世界中で信仰されている神と混同されたり、その一部になってしまうなんてことはざらです。
ですが、キリスト教という超メジャー宗教の伝来があったにも関らず、信仰が生き残り、逆にキリスト教に設定が採り上げられた女神がケルト神話には存在するんです。
今回は、そんな豊穣の女神・ブリギッドをご紹介。
女神か聖女か、ブルギッドという女神様とは？
目次
ブリギッド、さまざまな側面を持つ女神
ブリギッド(Brigit, Brigid)は、ケルト神話に登場する豊穣の女神です。
それ以外、光・火・春・詩歌・工芸・戦・出産・医術・生命などを司どる、アイルランド人の信仰あつい女神様です
「高貴なもの」「崇拝されるもの」という意味を持つブリギッドは、ダーナ神族の主神・ダグザとブレグ (偽り) ・メング (狡猾) ・メイベル (醜さ) のいずれかの女神の子。
あるいは同じ名前を持つ3姉妹の女神。
文献によってはブリギットを三重の女神とするもの、同じ名前を持つ『学問・文芸の神』『手工芸の神』『治療・出産の神』を司どる 3 人の女神とするものもあります。
また、『占い・予言』ををする能力も有していたともあります。
そして、時代が下るにつれ、ケルト神話の女神であるブリギッドは、キリスト教の聖女でアイルランドの守護聖人であるブリギッドと同一視されるようになってゆきます。
ブリギッドの神格
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ブリギッドは多くの神格を持つ神としても知られています
🔸光、穂のを司る神
ブリギッドは光・火を司る女神として魔法の火鉢を持つ姿で描かれることが一般的です。
ブリギッドの光や火の女神としての一面は、彼女は太陽と結び付きがあり、彼女が朝日と共に誕生したとき、火柱が天に吹き上がり、家の中を明るく照らしたという神話から成っています。
それ以外にも
🔸春を司る女神
アイルランド神話では、ブリギッドは主に春の女神とされます。
季節の始まりを告げる「インボルク」が行われる2月1日もブリギッドの祭日でもあります。
🔸出産、癒し、保護、豊穣を司る女神
また、出産をつかさどっていたことから、多くの妊婦から崇拝されています。
女神ブリギッドは、女性、子供、家、家畜の守護神であり、災害によって畑や家が破壊されるのを防ぎ、動物が被害を受けることから守ります。
インブロック祭では、ブリギッドの保護と治癒の力を象徴する太陽のシンボル、キリスト教では、幸運と守護の印として十字架がブリギッドの象徴として用いられます。
🔸芸術を司る女神
詩人、歌手、芸術家のミューズである女神ブリギッドは、ハープを奏で想像力を刺激し、個人の創造性を高めます。
🔳ブリギッドのシンボル
ブリギッドは色々なシンボルを持つ神としても知られています。主なものとして
- 蛇―再生を意味する蛇は女神ブリギッドの神通力と権威を表します。
- 鳥―カラスとハヤブサは、新しい生命と豊穣を意味します。
- 花・竪琴―花は春と豊穣を、ハーブは癒しと再生の力を象徴します。
ブリギッドの結婚
ブリギッドの夫は、ダーナ神族と巨人族・フィモール族の混血児であるブレスです。
ブレスは、戦いで隻腕となり、王権を失ったダーナ神族のヌアザに代わって王となりました。
ダーナ神族の主神であるダグザと祖母である地母神・ダヌの血をひくブリギッドは、ブレスの王権を強化します。
彼女は、ブレスとの間に息子・ルアダンをもうけましたが、ブレスがダーナ神族に反旗を翻したモイ・トゥラ第2の戦いで鍛冶の神・ゴブニュによって討ち取られてしまいます。
聖女になったブリギッド
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ローマ帝国がキリスト教を国教とした以降、多くの国々にキリスト教が普及しました。
アイルランドも例外ではなく、432年にブリテン島から来た聖パトリックによって急速にキリスト教化されることになります。
多くの神々は、邪神扱いこそされなかったものの、妖精や精霊へと零落して行きました。
しかし、ブリギッドは信仰が広く深く根付いていたため、キリスト教の僧侶たちは彼女を否定するのではなく、キリスト教に融合しようと考えます。
そのため、キリスト教の聖女・キルデアのブリギッドを女神のブリギッドと同一視するようになりました。聖ブリギッドの祝日が2月1日であることや火と関連が強い逸話が残っているのは、女神の影響が強いからだといわれています。
アイルランド中東部にあるキルギアの修道院（ブリギッド信仰の拠点）では火の女神でもあるブリギッドを称える『聖なる火』が19人の修道女たちに守られていたのだ言い伝えられています
ブリギッド、戦士として登場する女神？
「パズル＆ドラゴンズ」では、ケルトの女神の1柱として登場。火属性で、ブリギッドの火の女神としての一面がうかがえます。
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「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」では、弓兵として登場。亡き父の意志を継いで海賊を率いていた女傑です。
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ブリギッド まとめ
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ケルト神話の女神が、キリスト教の聖女に転化する。女神が聖女になるというのは神が人間になる＝降格のような気もしますが、いち地域のケルトの神が、全国版のキリスト教で崇められるというのはやはりこれは出世？
難しいことは無しにして、色々な加護を持つ女神様、その加護にあやかりたい神様です。
