『陸のアブドゥッラーと海のアブドゥッラー』とは
人魚の物語は「アラビアンナイト(千夜一夜物語)」の中でも語られています。
それが『陸のアブドゥッラーと海のアブドゥッラーの物語』
「漁師のアブズラーと人魚のアブズラー」(バートン版)
「陸のアブド・アッラーフと海のアブド・アッラーフの物語」(東洋文庫版)
とも命題されています。
アラビアンナイトはイスラムの説話集。
ペルシャの王に妻のシェヘラザードが1000日の間毎夜語る物語です。
あらすじ
人魚と漁師
昔、妻と9人の子を持つアブドゥッラーという貧しい漁師がいました。
生活は苦しく、漁のある日はその獲物で、収穫のない日はツケでパン屋のアブドゥッラーからパンを買い凌ぐ毎日です。
10人目の子供が生まれたある日、アブドゥッラーの網にアブドゥッラーという名の男の人魚がかかります。
人魚は陸の果物と海の宝石を交換しようと漁師に持ちかけ、真珠や珊瑚などの宝石を漁師に与えます。
宝石を手に入れた漁師
漁師はその宝石の半分をパン屋に、残りの半分を持ち帰ります。
翌朝も漁師は人魚と果物と宝石を交換。
その宝石を宝石商に売ろうといます。
宝石商は貧しい漁師が高価な宝石を持ち込んだことを怪しみ、漁師を捉え、その国の王アブドゥッラーの前に引き立てます。
けれど漁師の潔白は証明され、釈放。
漁師から事情を聞いた王は、漁師を王女「栄え」の夫とし、その国の大臣に取り立てます。
それからの一年の間、毎朝、漁師は人魚と果物と宝石の交換を続けます。
ある日、人魚は漁師を人魚の家に招きます。
漁師アブドゥッラーは服を脱ぎ、水中でも息ができるようになるダンダーンという魚の肝油からできた薬を塗り、海中に潜ります。
人魚の国の漁師、そして結末
漁師が人魚の国を訪れると、人魚の子らが尻と足のある珍しく漁師の身体を見て騒ぎ出します。
海の王も珍しい訪問者、人間の漁師を海の王宮に招きます。
そこで、王たちはが漁師の下半身の構造、尻と股間をながめ、珍しさから大笑い。
漁師は大量の宝石を持って陸に帰りつきます。
そして、二度と人魚のアブドゥッラーに会うことはありませんでした。