アブラハムとは旧約聖書『創世記』に登場する人物です。信仰の父ともいわれ、神の友として召命(神に名を呼ばれることの意味)を受けた人物です。
その後キリスト教・ユダヤ教・イスラム教を信仰する人々の始祖となります。
今回はそのアブラハムのご紹介です。
アブラハムが受けた召命 その決断とは?
目次
信仰の父アブラハム
アブラハム(Avram)は旧約聖書『創世記』第12‐25章で語られるイスラエル民族の始祖。
文明が発祥したメソポタミア地方カルデアのウルにおいて裕福な遊牧民の家に生まれたと考えられています。
不妊の妻を持ち、そのために子供には長く恵まれませんでした。当時の名前はアブラム、妻の名はサライ。
アブラハムの旅立ち
アブラムの父テラは偶像崇拝のはびこる異教の地から息子アブラムとアブラムの妻サライ、アブラムの甥ロト、それに多くの使用人を連れカナンに向けて旅立ち、途中の地ハランに住み着きます
父の死後、ハランに移り住んでいたアブラムはヤハウェ神(旧約聖書において唯一無二の神)より啓示を受けます。
「あなたは、
あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、
わたしが示す地へ行きなさい。
そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、
あなたを祝福し、
あなたの名を大いなるものとしよう。
あなたの名は祝福となる。
あなたを祝福する者をわたしは祝福し、
あなたをのろう者をわたしはのろう。
地上の全ての民族は、あなたによって祝福される。— 旧約聖書『創世記』12:1-3、日本聖書刊行会の新改訳聖書より(ウィキペディア)
その時アブラム75歳、サラは65歳でした。
アブラム一行はカナンにたどり着き、神は
あなたの子孫に、わたしはこの地を与える。
— 『創世記』12:7、日本聖書刊行会の新改訳聖書よ(ウィキペディア)
と預言されています。
しかし、アブハムが故郷を出てから10年たっても、サライが妊娠することはありませんでした。
そこでサラは自分の女奴隷ハガルによって子をもうけるようにアブラムに勧めます。アブラムが86歳のとき、ハガルはイシュマエルという男の子を産みます。
アブラムが99歳のとき、再度神はアブラムの前に現れ、
「天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみるがよい。」「あなたの子孫はこのようになる。」
— 創世記15:5、新共同訳聖書より(ウィキペディア)
と言われます。
アブラムは名前も「多くの父」を意味するアブラハムに改名。サライもサラ(王女の意味)とこのときに改名されます。
神の召命
ある日、三人の人物がやって来ます。アブラハムとサラは客に食事を与え、もてなします。
客の一人が
「春になったら、あなたの妻サラは赤ん坊を持っているでしょう。」と告げます。
そしてアブラハムが100歳のとき、サラは90歳でついに男の子を産みます。
アブラハムの決断
ところが、神はアブラハムにようやく授かった息子イサクを、モリヤ山で罪の赦しのための生贄としてささげるようにと命じます。そして、アブラハムはそう命じられた翌朝早くに、神に命じられたとおり、イサクを生贄とするためにモリヤ山に向かいます。
そして、最愛の息子を手にかけようとした時、神がそれを止めました。
神は我が子を捧げるアブラハムの信仰を認め、改めてアブラハムの子孫の繁栄を約束します。
アブラハムは175歳でその生涯を終えます。その間も127歳で亡くなったサラの後にケトラという女性を娶り、ジムラン、ヨクシャン、メダン、ミディアン、イシュバク、シュアという子供をもうけ長寿を全うします。
旧約聖書とは
旧約聖書はユダヤ教およびキリスト教の正典
「旧約聖書」はキリスト教による呼び方で、ユダヤ教での正式の名は『タナハ』あるいは読誦を意味する「ミクラー」とも呼ばれます。
そのタナハは『律法(トーラーתורה)、預言書(ネビイームnabi(ラテン翻字))と諸書(ケスビームכְּתוּבִים)』でその頭文字をとったもの
内容は大きく創世記、モーセ五書、歴史書、預言書、詩歌に分かれます。
創世記
神が世界を作った天地創造、アダムとエバ、カインとアベル、ノアの箱舟、バベルの塔、アブラハム、イサク、ヤコブの物語と続いています。
モーゼ五書
ヤコブの子ヨセフの時代にエジプトに移住したイスラエルの民が、モーセに従い約束の地カナンにたどり着くまでが記されています。
シナイ山で神から授かった十戒の他に、出エジプト記の他にもレビ記、民数記、申命記
などに多くの法律、倫理規定などが記されています。
申命記の最後で、カナンにたどり着く前にモーセはヨシュアを後継者としてモアブの地で亡くなっています。
歴史書
カナンの地にたどり着いたイスラエルの民が移住してゆく様子が描かれています。
ヨシュアの後、デボラ、ギデオン、サムソン、サムエルという指導者が現れ、サウル、そしてダビデ、ソロモン王に続いてゆきます。エルサレムの繁栄、シバの女王の訪問、そしてバビロニアに滅ぼされてゆきます。
予言書
主に北部イスラエル王国で活躍した預言者たちの様子が描かれています
主に三大預言者と呼ばれる
■イザヤ
ユダの不正を糾弾し、メシアによって将来への希望を託されると予言
■エレミヤ
バビロン捕囚の時期に活動した古代ユダヤの預言者
■エゼキエル
神の召命を受け、偶像崇拝や異教徒との姦淫などの行いをユダヤの民に警告。エルサレム陥落後の捕囚民への慰め、祖国への帰還を預言
の物語が語られています。
詩歌
詩篇はその多くがダビデの作、雅歌はソロモンの作、哀歌はエルサレム陥落と神殿破壊を嘆く歌、エレミヤの作であるとされています。
ヨーロッパの近代文学にも影響を与え、ユダヤ教・キリスト教の典礼に今も用いられています
アブラハムとイサク まとめ
旧約聖書においても、楽園を追放されたアダムとエバから始まって、カインとアベル、そしてこのアブラハムとイサク、何度も人間は神の試練を受けています。
神はなぜ、人間に試練を与えるのか、今回のように信仰を確かめるため?
「乗り越えられない試練を神はお与えにはならない」ということを聞きます。
けれど、神様には内緒ですが、正直なところ、できるなら乗り越えられるとしてもシンドイ試練はご遠慮したい、です。